105_cp_2019.2
K市駅前広場再整備コンペ _【Mt. Kobe keel】
木造 延1000㎡
設計
意匠:菊池甫
構造:清水良太(清水良太構造デザインスタジオ)
撮影:八杉和興
神戸市三宮駅前、通称「パイ山」と呼ばれ親しまれていた広場の再整備コンペ案。
提案は、神戸市の山、港、町なみ、そして市章などに着想を得ている。 またパイ山の継承という側面を強く意識し、人々がくつろいでたたずみ、集う事が出来る広場にしたいと考えた。建築は、船の竜骨をルーツにした2本のキールアーチと、アーチを取り持つ複数のタイバーによって構成されている。地場産の集成材で作るアーチを、神戸市の市章の形に併せて交差されることで、全方位に対して特色のある、山並みのような造形とした。また、タイバーにはツル性の植物を巻き付け、山を感じる自然ゾーンの一部として、植物に親しみ、芝に座ったり、アーチに寄りかかってみたり・・・散策を楽しむかのように回遊できる空間とした。いつものパイ山に集合し、今日はどこへ行こうかと、仲間たちと語らってきた時間・・・ かつてのパイ山が培ってきたあの時間を吸収し、えき・サンキタ通り・阪急ビル等から訪れた人々の拠り所・結節点となれるような提案を目指した。
『キールアーチとタイバーによるハイブリッドテンション構造 』
港を象徴するキールアーチを長手方向に架け渡しメインフレーム としている。傾斜を有するキールアーチは、それ自体は面外方向に 対して不安定であるが、2つのキールアーチをつなぐ タイバー(アーチを繋ぐコネクタ―)によって自立した構造となる。
上図の解析モデルは、 長期荷重時の軸力図であるが、 アーチが負担する圧縮力(赤色)と タイバーが主に負担する引張力(青色)を示している。
『アーチの材料と耐久性、および基礎について』
アーチ及びタイバーを構成する部材は、軸力が支配的となるため、 木材の繊維方向の強度特性を生かして、兵庫県産材を利用した 集成材とする。恒久的な屋外の木材利用となることから、セラミック系塗料等を 用いて、防火、防水性能を付与すると共に、定期的なメンテナンス 計画を作成し、長期的な耐久性を確保する。基礎は既存埋設物との干渉を考慮して、各埋設物に対して 並行的に、かつ、最小限の基礎形状となるようにキールアーチの 脚部を繋ぐ布基礎としている。
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